ライクアローリングすなわち空転
2025-05-13
もしも世界が丸い ドーナツだったら
真ん中の穴から 一人二人と落ちて
俯瞰すると 傲慢な天使の輪のようで
思わずおかしくて腹を抱えて笑うと
やっこさん ちょっと気分を害したようで
僕の足から伸びる影を
ザクザクとザクザクと
包丁で突き刺しやがるのです
まあ いちいち目くじらを立てても
仕方ないでしょう
確かに 自分の影を刺されると
気分が悪いかもしれませんが
あなたのその腹から
実際に血が出ているわけではないでしょう
それなのに大袈裟に騒ぎ立てて
あなたったらいつまでたっても
子供だね と言って
おじいさんとおばあさんは
桃を川に流しました
その桃は 正しさの暗喩で
何もかも綺麗なことばかりを言っていたら
世の中たち行きませんよという
つまらない大人になったら誰もが言わなければいけない
いわゆる大人の教科書に
書いてあるのです
私はそれを 疑っていた
理由を言わなければ分からないかな?
誰かの言いなりになるなんて
そうは問屋が卸しませんよ
問屋がこっちを見て面白くなさそうに
「こっちだってね 卸す先は選ぶんですよ 」
と言いやがる
今は俺がしゃべっているんだから
お前はちょっと黙っておけ
そう言ってピシャリと門を閉じれば
いやあ それじゃあ冷たいだの
相手の気持ちをわかってないだの言うんでしょ
そうだよ分かんねえよ
お前らが言う友情とかさ
温かさとか優しさとかさ
リターンありきじゃねえかよ
優しくしたから優しくされなきゃ
損した気分になるんだろ
利用できる 便利チケットみたいなもんだろ
お前の電話帳は
俺はそんな風に いざという時に
ビリッと破いて使われるような
クソみたいな友達にはなりたくねーし
いらねーよ一人も
いらねえよ
そんな奴らに囲まれて
ただでさえ短い人生を
徒に消費して
気が付いたら窓から見える葉っぱを見ながら
あれが落ちたらわしは
なんかえらいことになるんじゃろうって
愚痴るようになっちまうんだろう
いや、ならねえよ
ならねえ
なりたいものに人はなると言うなら
俺はつまらないもんにはならねぇ
そうは言ってもね現実ってのは
四方八方から攻めたててくるんですよ
まるで 鋲の入った籠の中で
ローリングするようだ
ライクアローリング
なんでもないよって立ち上がったら
血だらけなんだよ
ライクアローリング
精一杯だよこれが
つまんない人間の精一杯の
ライクアローリングがこれだよ
面白いか
面白いから見てんのか
そんな意地悪したって別に
気が晴れるわけではない
この手を離したらいいのか
それすらわからない
なぜなら落ち込んでいる
俺の心が憎いわけではないのだ
この取り巻く現実が
偏ったゆがんだ世界が
誰かの利益で誰かのわがままで
上書きされ続けている現実が
見るに耐えないだけなんだ
別に誰かが憎いわけじゃない
いや憎いかこの世のあり方が憎いのなら
たくさんの人の 幸福と
ラベルを貼り付けられた
欲望にまみれた
わがままにまみれた
それが網目のように交差して
たくさん上書きされて
それを離れたところから見て
その網目を指さして
この世と言っているのであれば
俺は世が憎いのか
人が憎いのか
自信を持って答えることができない
ではなぜ人を好きになるのか
別に自分を映す鏡と思ってるわけではないのだ
では 人を好きになる気持ちは
独立したものなのか
暗い部分と明るい部分と思っているものが
表裏一体と思うことすら間違えているのか
イコールでつなげないのに
それ単独では存在できないのか
相反するわけでもなく
作用し合うわけでもない
そんなものが心の中で
うじゃうじゃうじゃうじゃと
腐ったたわしのようにうごめいている
助けてほしい
俺はもう辛い疲れた
休みたい
どこか南の島でバカンスをしつつ
晴耕雨読
虫が嫌いだから 耕せない
雨の日は憂鬱だから 何もしたくない
晴れた日に 薄暗い部屋の窓際で
ゆっくり本を読みたい
隙間時間に読みたくない
それ単体本を読むという行為自体を
大切に使いたいのだ
それには時間が足りない
生きているだけで
生きているということを
維持するだけで
湯水のごとく時間が消えてゆく
俺は昨日も今日も
ただ生きていた
何かをして お金を稼いでも
俺は生きていたとしか思えないんだ
なんにもない
未来が見えない
明るいと思えない
繋がらない
終わりばかりを夢見ている
何もない
何にもないよ
俺には何もない
早く 早く 早くと思うよ
進む時計を見ては
また憂鬱になる
早く早く早くと思いながら
止まれ止まれ止まれと泣いているよ
辛いよ 辛いよ 辛い