水中で血の雫がほどけるように あなたの悲しみに触れることは叶わない 背を撫でるように手のひらで 何か声を探し耳を澄ませるように添える あなたの悲しみは 夜の中で姿を大きく見せる まやかし 古い悪魔は皆そうさ あいつら本当は臆病でちっぽけなものさ 僕は知っている 夜空を走る黒い雲が 何も無い低い草原に影を落とし 流れてゆく時間は 痕跡を残さない 愛が心の中で 段々と形を失うのは あなたのものになるのを望んでいるから さようなら さようなら 指切りのように離れる 大切な日々も思い出も何もかも 美しい日々は 手の届かぬ頭上を旋回する鳥 せめて雨雲を知らせておくれ 僕が見えていると知らせて 安心をさせてくれ