霞猫

火花

取り残された最果ての場所で
無理やり吹かした空元気
憎悪のような空腹にリモコンを盗られ
望まぬ火を吹く怪物

正しさの型に嵌められて
ねじ曲がる背中

見つけて欲しい
ビルの狭間深い森の中みたいに
空は狭くて
みんな近くて遠い他人だから

斜めに刺さる鉄骨は折れた足みたい
誰もいない影は嬉しそう
自由意志でパラシュートを開いただけ
手で包むようにふわりと

鳥かごの扉を今更開いて
善人面とか強欲過ぎるよ

泡に写るような
一瞬だけでも思い出が暖かい
声も顔も心も
真っ白いもので塗りつぶされていたとしても

もう世界中のどこにもいない
ふつり、ふつりとまどろみの中での
空想のように霧散する
知らない誰かがニコニコと笑っている

凹んだバンパーはシンデレラの靴みたいに
私の形にピッタリ
今では無人の運転席に座ってみれば
思った程の感動は無い