霞猫

ステフィーは元気な子

2025-05-14

目を閉じる
瞼の裏側に太陽の残像滲む
薄いガラス越し
楽しそうに笑う

水槽の中に水が溜まってゆく
千切れ 端切れ 風に吹かれ
するり 手から零れ
失ってしまえば まるで当たり前のように

息が凍りそうな朝に
閉じ込められて迷子
牛乳瓶を盗む子供は痩せた馬を引いて

電線の上
影絵のような小鳥
黒 黄色 赤
世界から色が抜ける

洞穴のような眼窩から
ぼろぼろと涙を落とし
その度体の中から肉を失ってゆくような

焦がしたトーストよろしく
日付の変わる線上で
ロールした歯形だらけの削ぎ落された私は
ちょうど箱に収まるサイズ
ああ また無駄なものを集め
落ちた聞く耳 隠すように拾い
仕方が無いねと しれっと吐いて
耐えがたい世界へ