目を閉じる 瞼の裏側に太陽の残像滲む 薄いガラス越し 楽しそうに笑う 水槽の中に水が溜まってゆく 千切れ 端切れ 風に吹かれ するり 手から零れ 失ってしまえば まるで当たり前のように 息が凍りそうな朝に 閉じ込められて迷子 牛乳瓶を盗む子供は痩せた馬を引いて 電線の上 影絵のような小鳥 黒 黄色 赤 世界から色が抜ける 洞穴のような眼窩から ぼろぼろと涙を落とし その度体の中から肉を失ってゆくような 焦がしたトーストよろしく 日付の変わる線上で ロールした歯形だらけの削ぎ落された私は ちょうど箱に収まるサイズ ああ また無駄なものを集め 落ちた聞く耳 隠すように拾い 仕方が無いねと しれっと吐いて 耐えがたい世界へ