霞猫

サボテンの花

2025-05-13

半透明 揺らぐ照明
道端に 不時着した
削り落ちた 季節が
ぐずって 雨が降る

目の前で閉まるバスの扉を
無感情で見ている
血の通わない真っ白な顔
たくさん窓に張り付き
こっちを見ている

造花の花壇 籠の果実
割れたガラス 指が切れた
昼の月 溶ける太陽
汗をかく 青いコップ

テレビは何もやっていない
玄関の鍵は回らない
嫌な絵のように塗りつぶした
忘れたいもの全て
ここは水の底

口を開くたび空気の泡が抜けて
サイダーの泡のよう
パーティーの準備を連想させる
健気に色紙を飾り付けて
サボテンの花を見て喜んでいた
知らなければ全てが美しかった
捨てることは出来ないのに
捨てたらどうなるって考えてしまう
弱さと我侭のハイブリッド
晩節は汚しながら行こう