名前を貰えなかった未来
2025-05-13
夜空の星の光が もう少し強ければ
足元を照らし 導いてくれたのだろうか
雑踏から向けられた無数のカメラのレンズ
自分の顔を向けずに覗き見をすれば
心が痛まないんだろうか
孤独の寿命は人より長いから
寄り添う僕らの心は保たない
抱えれば持てるくらいの全部が
飾らない命の全部
さよなら さよなら
愛しいものすべて
ほんの少し心に引っかかり
だけれど零れ落ちるものよ
さよなら さよなら
悲しみの宵闇よ
戻れない昨日を振り返り
手を伸ばす誰かに気付ければ
沢山の喧騒は夏の夜空に吸い込まれて
弥次馬どもは馬鹿さ 踊る阿呆が一番馬鹿さ
光るスマホから見える虚像の海
沢山の嘘を洋服のように纏う
脳を痺れさせて眠る
想像の向こう側で救われる命が有るなら
それを知る事が出来ないのは罪で
あらゆる手段を駆使して辿り着けるなら
未来も少しだけ良くなるかも
さよなら さよなら
恋人のような沈黙よ
惹かれ合う惑星の
満ち引きのような心よ
さよなら さよなら
旅立ちの夜にひとり
世界がほんの少しだけでも
変わりますようにと祈り
誰かの心がそっと閉じるとき
誰にも触られなかった涙が落ちた
悲しみで鈍くなった鼓動は最後に
暖かい何かを求めたかもしれない
さよなら さよなら
酷く冷たい世界よ
さよなら さよなら
名前を貰えなかった未来よ